今回のお題
「こくぞうさん」

むかしむかし、菰野の山に三嶽寺(さんがくじ)というお寺がありました。
そのお寺には、どんな願いも静かに聞いてくださる虚空蔵さまがまつられていました。
ある年のことです。大きな戦で山が火事になり、お寺はたちまち炎につつまれました。
その時、一人の老僧が虚空蔵さまを胸に大切に抱えて山を下り、暗い森や川をこえて歩き続けました。
つかれて座りこんだ時です。虚空蔵さまが、ぼんやりと光ったように見えました。
その光がやさしく照らしたのが、今の音羽の里でした。老僧はそこで気づきました。 「ああ、この里がよいのだな」村の人たちは老僧をあたたかく迎え、虚空蔵さまを大切におまつりしました。それが、今に残る ※※音羽の虚空蔵寺(こくうぞうじ)※※ です。
いまでも人々はこう言います。 困ったときの『こくぞうさん』お願いすると、そっと心を明るくしてくださる――そんなお寺のお話です。