今回のお題
「お姫様とお堀」

京の公家、竹屋家の益子姫は、堀も櫓もないうら寂しい ところへ嫁ぐことになり、心細さでいっぱいになっていました。
確かに菰野城には堀がなく館のまわりに低い土居をめぐらしてあるだけでした。時は明治元年の秋。来年の婚礼までに、堀をつくり櫓もたてることができるだろうかーいやできなければ折角のご縁談もこわれてしまうだろうー。城下あげて相談の結果、百姓たち総出で、工事を始める運びとなりました。
土を掘りおこし、モッコやふごで土を運ぶ人々の声、お城の周りは立ち働く人々でごった返し活気に満ちていました。そして堀が完成すると今度は休むひまなく突貫工事がすすめられ角櫓が完成しました。そして目にしみるくらい美しい水をたたえた堀をこえ婚礼の行列がやってきて、お興入れがすんだのでした。